心の交流と性のあいだのジャンプ
こころのこうりゅうとせいのあいだのじゃんぷ
『青野くんに触りたいから死にたい』が良かったのは、 最初がただの一目惚れ、ただ触りたい・セックスしたいという (しかも女性側からの)性欲でしかないところから始まり、 お互いの人格形成に関わる家族の問題がすごい深度で描かれたあとで、 「深い人
『青野くんに触りたいから死にたい』が良かったのは、 最初がただの一目惚れ、ただ触りたい・セックスしたいという (しかも女性側からの)性欲でしかないところから始まり、 お互いの人格形成に関わる家族の問題がすごい深度で描かれたあとで、 「深い人間的交流が果たされたから二人の関係は尊いものになった」 という終わり方をしないところだ、と荘子itは言う。 最終的に「ただ触りたい」という地点に戻る。そこにジャンプがある。 三宅唱『夜明けのすべて』も男女の交流を描きながら恋愛関係にはならない。 心の交流と性的な関係のあいだにはジャンプがあって、 めちゃくちゃ分かり合ったからといって恋人になるわけではないし、 恋人より大事な友人がいるという話にもなる。 「好きになっちゃう」「触りたい」は、道徳的に解消できない、 すごく難しくて危ない問題だ。
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関連項目
- 勉強するとキモくなる千葉雅也『勉強の哲学』(2017年)の核心。
- 入門書のジレンマ福尾が書き始める初の新書のモチベーション。
- アウトリーチという言葉が嫌い大学でよく使われる「専門知を社会に還元しましょう」という言葉。
- 批評はステルス化する批評能力は、もっともらしい批評文を書くという形では達成されなくなっていくのかもしれない。
- 私性の形式化エッセイブームと並行して、「私性」というものの形式そのものが偏り、 固まっていっている——丁寧な暮らし的な何か、ケア的な何か、 あるいは逆にケア的な何かへの違和感、といった方向に。
- 内実が分からないとモンスター化する『ブラックボックス・ダイアリーズ』の捜査官A——伊藤詩織にきわめて協力的だった人物が、 最終的に彼女をひどく傷つける。
- それぞれ勝手にやっているからやりとりが発生する葉山莉子がTinderでマッチした相手に日記を送っていた——一番多いときは 同時に100人へ——という話から福尾が引き出した形。
- バカし合い込みのリアル頂き女子りりちゃんや国際ロマンス詐欺と並べて考えると面白い、という文脈で。